東京女子医科大学 放射線腫瘍学講座

放射線治療について

乳がんの放射線治療

乳房温存術後の放射線療法について

何のために放射線療法を行うのですか?

 手術後の放射線療法は、温存した乳房や周囲のリンパ節からの再発を防ぐために行います。乳癌に対する手術の目的は目に見えるがんをとりのぞくことで、術後放射線療法の役割は手術で取りきれなかった可能性がある目に見えないがんを根絶することです。乳房照射は日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインでも全ての乳房温存術後の患者さんにお勧めしている標準治療です。
 乳房温存術後の患者さんでは、照射しないと約30%の人で乳房内再発が起こりますが、温存乳房に放射線療法を行うことにより乳房内の再発が70%減ることがわかっています。さらに、乳房内再発を防ぐことにより生存率も向上させる可能性があることがわかっています。
 わきの下のリンパ節に転移が4個以上あった患者さんでは乳房に加えて鎖骨上窩(頚のつけねの鎖骨の上の部分)へのリンパ節転移を予防するために鎖骨上窩にも放射線をかけることをお勧めしています。

放射線療法の線量や治療期間はどれくらいですか?

 乳房照射では1回2グレイ (Gy:吸収線量の単位) で25回、5週間、総線量50グレイの照射が一般的に行われてきました。さらに、局所再発のリスクが高い方(50歳未満、わきの下のリンパ節転移あり、病理検査でリンパ管・脈管浸潤あり、切除断端あるいはその近くにがん細胞があったのいずれかをお持ちの方)では、乳房照射後に、がんがあった部位への1回2グレイで5回10Gyの追加照射(ブースト照射)をお勧めしています。
 最近では欧米を中心に、乳房照射を3週間くらいで行う寡分割照射(短期照射)が、効果と有害事象が従来法と同等で利便性に優れることから標準的に行われるようになってきました。日本でも2013年より乳がん診療ガイドラインで、50歳以上、pT1-2、全身化学療法を行っていない、線量均一性が保たれる患者さんでは、寡分割照射法を通常分割法と同等としてお勧めしています。

乳房温存療法後の放射線治療について 乳房温存療法後の放射線治療について

放射線療法にはどんな副作用がありますか?

 治療を開始して3〜4週間後くらいで、放射線が当っている範囲の皮膚が日焼けのように赤くなり、ほてり、カサカサ、ひりひりを感じることがあります。日焼けのような症状は、皮膚を保護し、冷やしたり軟膏をぬったりすることで治療後1か月くらいでおさまります。放射線が当った部分の皮脂腺や汗腺の働きは低下していますので、治療後も保湿剤などを塗ることをお勧めします。
 治療後数か月で100人に1人くらいの割合で放射線性肺炎が起こることがあります。咳や熱が続き、いつもの風邪症状とは違うと感じた時は放射線腫瘍科の担当医にご連絡下さい。
 放射線療法による数年後以降の後遺症として、左側の照射では狭心症や心筋梗塞が増えるとの報告がありましたが、最近の照射では心臓にかからないように工夫して照射しますので殆どご心配はいりません。

乳房切除術後の放射線療法について

何のために放射線療法を行うのですか?

 乳房切除手術後の放射線療法は、乳房を切除したあとの胸壁や周囲のリンパ節からの再発を防ぐために行います。乳癌に対する手術の目的は目に見えるがんをとりのぞくことで、術後放射線療法の役割は手術で取りきれなかった可能性がある目に見えないがんを根絶することです。
 乳房切除術を受けた患者さんでわきの下のリンパ節転移が4個以上あった方には、再発のリスクを減らすために術後の放射線療法を行うことを日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインでも強くお勧めしています。わきの下のリンパ節転移が4個以内でもあった方にも、状況により再発のリスクを減らすために術後の放射線療法をお勧めします。

放射線療法の線量や治療期間はどれくらいですか?

 乳房切除術後照射では1回2グレイ (Gy:吸収線量の単位) で25回、5週間、総線量50グレイの照射が一般的に行われています。
 全ての方に照射をお勧めするのは乳房を切除したあとの胸壁と鎖骨上窩(頚のつけねの鎖骨の上の部分)です。さらに、がんの状態によっては胸骨傍(胸骨のわき)への照射をお勧めしています。

乳房切除後の放射線治療について 乳房切除後の放射線治療について

放射線療法にはどんな副作用がありますか?

 治療を開始して3〜4週間後くらいで、放射線が当っている範囲の皮膚が日焼けのように赤くなり、ほてり、カサカサ、ひりひりを感じることがあります。日焼けのような症状は、皮膚を保護し、冷やしたり軟膏をぬったりすることで治療後1か月くらいでおさまります。放射線が当った部分の皮脂腺や汗腺の働きは低下していますので、治療後も保湿剤などを塗ることをお勧めします。
 治療後数か月で100人に1人くらいの割合で放射線性肺炎が起こることがあります。咳や熱が続きいつもの風邪症状とは違うと感じた時は放射線腫瘍科の担当医にご連絡下さい。
 放射線治療による晩期の後遺症として、左側の照射では狭心症や心筋梗塞が増えるとの報告がありましたが、最近の照射では心臓にかからないように工夫して照射しますので殆どご心配はいりません。


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