放射線治療について
子宮頸がんの放射線治療
子宮頸がんは、手術が困難な進行期でも放射線治療で治すことができる、放射線治療が得意とするがんの一つです。
骨盤のリンパ節領域を含めた外部照射と子宮と腟に器具を入れて直接患部を照射する腔内照射を組み合わせると効果が良いことが知られています。
副作用については、「放射線治療の影響と対策」をご覧ください。
子宮頸癌とは?
子宮は膣と連続する頸部とその頭側にある体部に分けられます。子宮頸癌は、その頸部から発生した癌で、多くが扁平上皮癌です。ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因とされ、以前は40歳代後半~50歳代で発症する人が多く、減少傾向にありました。しかし、近年になり若い年齢で発症する人の増加により、増加しつつあります。
放射線治療の目的は?
子宮頸癌の治療は、手術と放射線治療が主体で、場合によっては化学療法の併用を行います。治療法の選択は、癌の進行程度、年齢、体型、既往歴・合併症などによって判断することになります。
非常に早期の場合には、子宮頸部をくり抜く小さな手術法である円錐切除で治療も可能となりますので、手術を選択されるのが良いと思います。この円錐切除が困難な場合には放射線治療でも治癒を望むことが可能です。
また、手術が困難なほどに進行した状況でも、腫瘍が血液に入ってしまって他の臓器に転移してしまった場合や子宮からかなり遠くのリンパ節まで転移してしまった場合を除き、化学療法と放射線治療を併用することで治癒を期待することができます。
一方、その中間程度に進行している場合には、手術と放射線治療の効果はほぼ同じと考えられております。治療法の選択には、それぞれの副作用のみではなく、治療期間なども十分に考慮して、婦人科医および放射線治療を担当する専門医とよく相談する必要があります。また、手術後の病理結果で骨盤内リンパ節転移が陽性などが分かった場合には、放射線治療(場合によっては化学療法併用)を行うこともあります。
放射線治療の方法は?
子宮頸癌の放射線治療は、骨盤部への外部照射と子宮・膣に器具を挿入しての腔内照射を併用して行います。骨盤部の外部照射は、子宮頸部の癌のみにダメージを与えるのではなく、周囲の転移している可能性のあるリンパ節も含めて照射します。一方、腔内照射は子宮頸部の癌を中心に放射線を集中的に照射します。
また、手術後の放射線治療(術後照射と言います)の場合には、骨盤部の外部照射のみで治療を行うのが基本で、膣への浸潤があった場合のみ腔内照射を追加することになります。
子宮頸癌の放射線治療は、骨盤部への外部照射と子宮・膣に器具を挿入しての腔内照射を併用して行います。骨盤部の外部照射は、子宮頸部の癌のみにダメージを与えるのではなく、周囲の転移している可能性のあるリンパ節も含めて照射します。一方、腔内照射は子宮頸部の癌を中心に放射線を集中的に照射します。
また、手術後の放射線治療(術後照射と言います)の場合には、骨盤部の外部照射のみで治療を行うのが基本で、膣への浸潤があった場合のみ腔内照射を追加することになります。
放射線治療の投与線量や治療期間は?
骨盤外部照射は、前後2方向あるいは前後左右の4方向から放射線治療を行います。スケジュールは、1回1.8-2Gyで25-28回、5-5.5週間、投与線量45-50Gyが一般的です。子宮・膣に器具を挿入しての腔内照射は、癌の進行程度や周囲の正常組織の距離のバランスで加減することになりますが、骨盤外部照射の後半から、週1回のペースで2-4回併用することになります。場合によっては骨盤外部照射終了後に行うこともあります。
副作用は?
治療中から治療直後には、下痢、悪心・嘔吐、全身倦怠感などが出ることがあります。また、下腹部の脱毛は必発であり、日焼けのような放射線皮膚炎も、個人差はありますが、治療後半にでてきます。
治療後6か月以後に生じる副作用、いわゆる後遺症としては、卵巣機能低下に伴う更年期障害や不妊は必発です。しかし、それ以外の重篤な副作用は、照射方法が進歩したことにより起こる可能性は数%以下になっておりますが、直腸炎/潰瘍による直腸出血(まれに直腸穿孔),膀胱炎/潰瘍による血尿(まれに膀胱穿孔)、下腹部の皮下組織の硬い浮腫や下肢の浮腫、腸閉塞などの消化管障害,腟粘膜の癒着、骨盤骨の骨折などの可能性があります。