東京女子医科大学医学部 放射線医学講座 放射線腫瘍学分野

放射線治療について

消化器がんの放射線治療

食道がん

 消化器がんのなかでは、放射線が効きやすい病理組織型の扁平上皮がんの割合が多いがんです。食道はのどから胸部の大動脈のわきを通って胃に繋がっています。からだの奥深いところにあるので、手術のご負担が大きく、ご高齢の方や合併症がある方では放射線療法の方が有利なことがあります。リンパ節転移を起こしやすいので、食道周囲のリンパ節がある部分を含めて60グレイ程度を照射します。強い抗がん剤と組み合わせる場合は、放射線の量を50グレイくらいに減らすことがあります。

膵がん

 特徴的な症状がなく早期発見が難しいことが多いがんです。早期では手術で切除しますが、周囲に及んで取りきることが難しい場合は、抗がん剤と放射線療法を組み合わせて治療します。手術で取り切れるかの判断が難しい「切除可能境界域」の腫瘍の場合は、手術の前に抗がん剤と組み合わせて50.4グレイ、28回程度の放射線治療を行うことで、治療成績の改善が見られています。

 切除不能な腫瘍の場合、位置や大きさによっては、重粒子線治療(保険適用)の方が有利な場合がありますので、ご相談下さい。

肝臓がん・胆道がん

 早期では血管内治療や手術で治療しますが、周囲に及んで取りきることが難しい場合は、抗がん剤と放射線療法を組み合わせて治療することがあります。また、肝細胞がんで切除手術やラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈塞栓療法(TACE)が難しい場合に定位放射線療法を検討します(詳しくは定位放射線治療をご参照ください)。

 腫瘍が大きい場合などでは、重粒子線治療が有利な場合がありますのでご相談下さい。

直腸がん

 転移がなくやや進んだ病状では、手術の前に抗がん剤と放射線療法を組み合わせて治療してから、手術を検討します。

 術後の再発に対しても放射線治療は有用な手段です。病状によっては重粒子線治療が有利な場合がありますのでご相談下さい。

 副作用については、「放射線治療の影響と対策」をご覧ください。


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